8.2

8.2/10

レコードが家にたくさんあるなら、このレコードがないか一度探してみた方がいい。120万円で売れる。

 

1975年に10枚だけ自主制作された3/3(3ぶんの3)の唯一のアルバム3/3(3月3日)のレコードが今年再発された。(といっても数ヶ月前だが)このレコードのオリジナル盤は、その貴重さから直近のネットオークションでは120万円の値を付けたらしい。やばい。

 

3/3はいまも活動中のパンクバンド「フリクション」の前身のバンドである。いまはこんな感じ(bt)。セックス・ピストルズがデビューするのが1976年だから、パンクムーブメント前夜に、攻撃性や衝動性をいかに表現するか模索していた70年代の東京のアングラが感じられるアルバムだと思う。

 

このアルバムはパンクというより、ジミヘンのようなサイケ/ブルースロックをヴェルヴェッツのようなアングラな雰囲気で演った感じ。まず再生してすぐ、自主制作感のある独特の音質に圧倒される。一曲目の「きかいのうた」はいわゆるジミヘンコードを使った、もろジミヘンという感じの曲だが、歌い方が労働者っぽくてオリジナリティがある。エンジンふかしてーやっ、モーターまわしてーやっ。

「とんでけ」などは、MC5のようなガレージロックの香りもするし、シンプルで主張の強いギターソロはザ・フーのライブ・アット・リーズを彷彿させる。60年代後半の海外の音楽をいろいろと掛け合わせて、新しい音楽を作ろうとしていた感じが伝わってくる。全体として、こなれてない感じがいい。

 

3/3のレック、チコ・ヒゲはこの後渡米し、ニューヨークでノーウェーブの最重要バンド、コントーションズに参加する。(コントーションズかっこいいから聞いた方がいいよ!)帰ってきてからフリクションを結成する。

 

実は最近この「フリクション」も登場する、「ロッカーズ」という映画を観た。日本のインディーシーンの始まりとも言われる「東京ロッカーズ」というパンクバンド集団を追ったドキュメンタリー映画だ。彼らは「東京のアーティスト」として世界のなかでどのような立ち位置で音楽を演るか、悩んでいるようだった。

 

「東京は、エネルギーをいっぱい吸ってるんだけど、外に向かって発射してないんだよ」

 

このセリフで映画は終わる。東京ロッカーズから40年経った今、どうだろうか。